身近な方が亡くなられたとき、お葬式の準備と並行して進めておきたいのが、相続の手続きです。
相続は単に財産を引き継ぐだけでなく、法的に定められた厳格な期限が存在します。期限を過ぎると控除が受けられなくなったり、故人の借金を背負わなければいけなくなったりするため、注意が必要。取り返しのつかない不利益を被るリスクがあるため、注意が必要です。
本記事では、相続の全体像を時系列で整理しつつ、3ヶ月以内や10ヶ月以内といった期限の重要性を専門的な視点でわかりやすく解説します。
相続手続きの全体の流れと重要な期限

相続手続きは、身内の方が亡くなった日からスタートするとお考えください。まずは、いつまでに何をしなければならないのか、葬儀手続きの全体の流れと重要な期限を把握しましょう。
- 亡くなった直後から10日以内に行うべきこと
- 相続放棄・限定承認の期限は「3ヶ月」
- 相続税の申告・納付は「10ヶ月以内」
亡くなった直後から10日以内に行うべきこと
葬儀の準備で最も忙しい時期ですが、以下の行政手続きには非常に短い期限が設けられています。
| 項目 | 補足 |
|---|---|
| 年金受給停止 (国民年金は14日以内) (厚生年金は10日以内) | 支給停止の手続きが遅れると、年金の過払いが発生し、後日返還を求められるなどの手間がかかります。 |
| 介護保険証の返却 (14日以内) | 町村役場へ返却し、清算が必要な場合は手続きを行います。 |
| 世帯主変更届 (14日以内) | 故人が世帯主で、残された世帯員が2人以上いる場合に必要です。 |
以上は、死亡届の提出時に役所の窓口で案内されますが、漏れがないようチェックリスト化しておくと安心です。
相続放棄・限定承認の期限は「3ヶ月」
相続において最も重要となる期限が、相続の開始があったことを知った時から「3ヶ月以内」に行わなければいけない相続放棄・限定承認です。
この期間内に、以下のいずれかを選択しなければなりません。
- 単純承認:現金も借金もすべて引き継ぐ。
- 相続放棄:一切の財産も借金も引き継がない。
- 限定承認:引き継いだプラスの財産の範囲内で借金を返す。
もし、3ヶ月以内に何も手続きをしなければ、自動的に「単純承認」をしたとみなされます。
故人に多額の借金があった場合、その3ヶ月を過ぎると逃れられなくなるため、迅速な財産調査が欠かせません。
相続税の申告・納付は「10ヶ月以内」
相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、亡くなった翌日から「10ヶ月以内」に税務署へ申告し、適切な納税が必要です。
この期限を過ぎると、以下のようなペナルティが発生します。
- 延滞税・無申告加算税:本来の税額に加え、利息のような税金が課される。
- 控除の適用不可:「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった、税負担を大幅に削減する特例が受けられなくなる恐れがある。
10ヶ月という期間は一見「余裕がある」と感じられるかもしれませんが、遺産分割協議が難航することもあるため、1人で悩まず、葬儀のプロにも相談しましょう。

\相続の疑問は「葬儀の窓口」にお聞きください/
相続放棄の手続きの流れと注意点
故人が、債務を抱えていた場合や連帯保証人になっていた場合、自分たちの生活を守るために相続放棄を選択するのは正当な権利です。
ここからは、相続放棄の手続きの流れと注意点を解説します。
- 相続放棄とは何か?メリットとデメリット
- 手続きに必要な書類と提出先
- 3ヶ月を過ぎてしまった場合の特例
相続放棄とは何か?メリットとデメリット
相続放棄とは、最初から相続人でなかったものとみなされる手続きです。
放棄という言葉から、一度受け取ったものを手放す印象があるかもしれませんが、あくまでも相続人の対象から外れるための手続きとなります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 遺産分割協議などの親族間のトラブルに巻き込まれずに済む。 | 思い出の品を手放す必要がある。 |
| 借金などの負債を引き継がなくて済む。 | 自宅や預貯金などの財産も放棄する必要がある。 |
なお、相続放棄をしても次の相続人が管理を始められるまでは、遺産の管理義務(管理責任)が残るケースがあります(民法第940条)。
ゆえに、ほかの家族や親族の状況も一度確認しておくと安心です。
手続きに必要な書類と提出先
相続放棄は、遺族間で「私は要らない」というだけでは成立しません。
故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、申述書を必要書類とともに提出する必要があります。
- 相続放棄申述書
- 故人の住民票除票(または戸籍附票)
- 申述人(自分)の戸籍謄本
- 故人の死亡記載がある戸籍謄本等
- 収入印紙(800円分)および連絡用切手
必要書類を用意し、申述書を提出すれば相続放棄の手続きは完了です。
3ヶ月を過ぎてしまった場合の特例
「亡くなって半年後に、突然督促状が届いて借金を知った」というケースもあります。
このような場合、判例により「借金の存在を知った時から3ヶ月以内」であれば、相続放棄が認められる可能性があります。ただし、それには専門的な法的知見に基づいた理由書が必要です。
自己判断せず、速やかに弁護士や司法書士もしくは葬儀社に相談すると安心です。
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遺産分割協議から名義変更までの流れ
財産を引き継ぐことが決まったら、具体的に「誰が何を」もらうかを決定するのが一般的です。
ここでは、遺産分割協議から名義変更までの流れを解説します。
- 遺言書の有無の確認
- 遺産分割協議書の作成と実印の準備
- 不動産・銀行口座の名義変更手続き
遺言書の有無の確認
まずは、遺言書の有無を確認します。
遺言書がある場合、原則として遺産分割協議よりも遺言の内容が優先されます。
- 自筆証書遺言:本人が手書きしたもの。自宅や法務局(保管制度)を確認します。法務局以外で発見した場合、勝手に開封せず、家庭裁判所での「検認」が必要です。
- 公正証書遺言:公証役場で作成されたもの。日本公証人連合会の「遺言検索システム」を利用すれば、全国どの公証役場からでも有無を確認可能。
なお、遺言書を発見しても、すぐに開封するのは厳禁です。
正しい手続きを踏まえて開封することが必要です。
遺産分割協議書の作成と実印の準備
遺言書がない場合、相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を行います。合意した内容は「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付する決まりです。
一通でも欠けていたり1人でも反対したりすると、銀行口座の解約や不動産の名義変更はできません。
不動産・銀行口座の名義変更手続き
協議が整ったら、各資産の名義変更を行います。
- 不動産(相続登記):法務局で手続きします。2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が課される可能性があるため、注意が必要です。
- 預貯金:各金融機関の窓口で手続きします。最近ではオンラインで完結する場合もあるため、必要に応じて活用すると便利です。
すべての手続きが済めば、資産の相続に関する手続きは完了です。
相続をスムーズに進めるための事前準備

相続のトラブルの多くは、「何がどこにあるかわからない」という状況から始まることが少なくありません。
だからこそ、事前準備が大切です。次の項目では、相続をスムーズに進めるための事前準備を解説します。
- 財産目録の作成(プラスの財産とマイナスの財産)
- 家族・親族間での話し合いと意思疎通
財産目録の作成(プラスの財産とマイナスの財産)
まずは、故人の資産を「見える化」することが重要です。
- プラスの財産:不動産、預貯金、株式、貴金属、生命保険、書画骨董。
- マイナスの財産:借入金、住宅ローン、未払いの税金・医療費、保証債務。 デジタル遺産(ネット銀行、仮想通貨、サブスクリプション)の見落としも増えているため、スマホやPCの管理状況も確認しましょう。
「プラスの財産だけ確認して、マイナスの財産を計算していなかった」というトラブルも発生しやすいため、両方を明確にしておくことが求められます。
家族・親族間での話し合いと意思疎通
お葬式の場は、家族や親族が集まる貴重な機会です。
四十九日の法要などを目安に、今後の相続の方針について冷静に話し合える場を設けることが、将来の「争続(相続のことで争うこと)」を防ぐ防衛線となります。
なお、葬儀の事前準備に関しては、「葬儀の窓口」にご相談ください。
まとめ
相続手続きは、最も短いもので10日以内に済ませなければならないものがあります。加えて、長くても3ヶ月以内・10ヶ月以内の手続きが求められるものがあるため、迅速な手続きが必要です。
特に、相続放棄の判断は人生を左右しかねないため、冷静に判断しましょう。
「葬儀の窓口」では、心を込めたお見送りのサポートはもちろん、葬儀後の相続や手続きでお困りの方のために、提携する司法書士や税理士などの専門家をご紹介することも可能です。お葬式の準備から、生活を守る手続きまで。不安なことがあれば、いつでも私たちが状況を整理し、次の一歩を一緒に考えさせていただきます。
具体的なプランや式場を比較検討したい場合は、次のページもご活用ください。

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